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暗雲垂れ込めたヒースロー空港上空を彷徨いながらも、飛行機は無事空港へと着陸し、
バスでロンドン中心部にあるキングス・クロス駅へ辿り着いた。
駅構内のショップで、ロンドン市内のマップを購入し、ケンジントン近くの安ホテルまで歩いて行った。 ホテルに着き、チェックインカウンターに近寄ると、流暢なコックニー英語でお喋りに興じる、はすっぱで、小太りのフロントガールが、僕の顔を見て態度を豹変させた。 「What...○!※□you...◇#△!←Φ〇↓..〇±☆∥е」 「..................??」彼女が何を喋っているのか、まったく聴き取れず。 「I'm sorry. Will you talk more slowly?」と返してみた。 すると先ほどの喋り方以上の早口言葉で返され、暫時戸惑っていると、怪訝そうな顔付きをされ、溜息をつかれた。 「........Passport!!」 と云われ、やぶにらみにビザを手渡すと、彼女はしゃにむに僕のビザを確認するようページをめくった。すると、カウンターの上に宿泊カードを投げ出され、上から目線の横柄な態度で、ここへ書けという仕草を覗かせ、そのカードをボールペンで三度突っついて、転ばせた。 僕は薄々「これが人種差別か...」と感じながら、何も言葉を返そうとせず、含羞に責め立てられたその状況から、不細工なフロントガールを何度も一瞥し、睨み返した。 本当に「ファックサイン」を出してやろうかと思ったが、気を取り直して部屋に入った。 道行く人たちの肌は、黒、茶、黄で、多くて当たり前のはずの白人種の方が少なかった。 人種問題に苦慮する英国は、移民法を何度も改正し、その流入を厳しく制限してきた。それでも350万人以上、全人口の6%台を占める異邦人が暮らすこの国は、もはや多民族国家だった。 テムズ川を渡ったサウス・バンク付近の、駅高架下などには、真冬のロンドンで、多くのホームレスが焚火で暖をとる姿があり、地下鉄駅構内の通路でも、赤ん坊を抱えた、まだ二十代であろうと思われる女性が、空き缶を前に座っていた。 流石にこの姿を見た時は、布施せざるを得ない状況だったが、この頃のロンドンには、こうした状景があった。 高校の時憧れた、80年代ニュー・ウェーブ、その煌びやかな音楽隆盛のイメージしか無かったロンドンには、70年代から続くアナーキックな世相の反映が、未だに燻ぶっていたのです。 しかしそんなイギリスの情勢に意を反して、夜の世界は素晴らしかった。 クラブで流れる音楽は、70年代ポスト・パンクのイメージを引き継いだ、ジョイ・ディ・ヴィジョンからニューオーダー、マンチェスター・サウンドなど、最新のクラブミュージックがガンガン響いてきた。 ソウルⅡソウルでプログラミングを担当した、屋敷豪太のバック・トゥ・ライフ、そして91年のブルー・ラインズに繋がる、マッシブアタックの前身であった、ワイルド・バンチのメンバーに依るプロデュース曲に耳を傾け、尖んがった人々のファッションに目を凝らし、日本で掛かるターンテーブルの音楽が、このロンドンで発信されたスピーカーから流れるサウンドに、共震共鳴されている事を実感し、感動に震えた僕は、再び陶酔の世界へと浸透していった。
by artedesign
| 2016-11-17 15:35
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